ラムネの王子様
先日終末期の方がいて・・
食べることが大好きなのに、
食べれなくなった。
外にも出れず、家族もいないようなもの、
食べることは生きがいとも言えただろう。
余力があれば他の楽しみなんてこともあるが、
状態の猶予はそうはないものなんです。
けど時間の進みはゆっくりだったりして・・
この方の場合は何の因果か、
食べれなくなっても意識も時間もあった。
(この場合、時間は結果としてね)
ちょっと逸れるけど私は現場の人間として、
その人の苦しみや痛みに添えることが大事だと思う。
代わりの策を講じることは、
最善を尽くすとしても寄り添わなければ意味を成さない。
「ご飯ください」
「食べないと死んじゃうよー」
そうだねぇ、私も心配だなぁ。
説得も無理な説明もしなくていいのではないかな。
ご飯食べたいよねー、お腹空くもんねぇ。
こんなシンプルなことに応えてくれる場所が、
案外なかったりする切なさよ。
家に帰れない人もいっぱいいて、
食べられない人も、眠れない人も・・
何かしたいには限界がある。
その上での❝その人らしさ❞をともに。
最初はゼリーとか口当たりのいいものだけど、
それも難しくなってきます。
❝無理だよねぇ、難しいよね❞
そんな申し送りが増え、
切なさが増していきます。
私が買っていったのはラムネ・・
スタッフになんて言われるかなぁ、
なんて思いつつ。
これが案外良くて、
ムセなくて、味を愉しめたね。
「美味しいよ、甘いね。」
って言葉と細やかな楽しみに、
お互いの笑顔も生まれていきました。
残念ながら私は最期の最後には会えなかったけど、
スタッフのみんながこんな対応を教えてくれました。
❝2時間前までラムネ食べてたよー❞
❝お見送りのとき、手にラムネ持たせたの❞
❝空までラムネ持っていくね、きっと❞
ラムネを胸に抱えて旅立つ姿が目に浮かびます。
私のグリーフに寄り添う貴方は、
ラムネの王子様としていつまでも存在しています。
「いつもよく働くなぁ。」
「えらいなぁ。」
元気なくなってからの誉め言葉はグッときた。
出逢ってくれて、ありがとう。
本当によく頑張られました。
最期まで優しいMさんに、
心からの敬意と感謝を込めて。
関連記事
-
2022年 夏至の余白
日常の中にある大切なこと、 人生には気が付くタイミングがあります。 ...
-
2021年10月 グリーフケア~はじめの一歩 ご感想
ブログを毎日にしなくなって、 めっきりご感想等も遅れてしまいすみませ...
-
2021年12月10日 インナーチャイルド・ワークショップ
年2回の機会、ワークショップのご案内です。 インナーチャイルド・ワー...
新着記事
-
2022年 夏至の余白
日常の中にある大切なこと、 人生には気が付くタイミングがあります。 ...
-
2021年10月 グリーフケア~はじめの一歩 ご感想
ブログを毎日にしなくなって、 めっきりご感想等も遅れてしまいすみませ...
PREV : 安楽死・尊厳死を語る前に知っておきたいこと~本の紹介
NEXT : 人生会議という取り組み