満ちて、満ちる。
いくつかの大学と看護学校で、
を教科書として使って頂いています。
有難いことです。
かつ、若い年齢のうちから死生観に触れるということ。
私は大事な経験であると考えています。
2015年度からも静岡大学で、
「喪失とともに生きる~対話する死生学」
という学際科目をおこなっています。
授業でどんなことをやってるの?
という疑問をよく投げかけられます。
先日の内容をシェアしてみましょう。
全部は書ききれないし、
私の視点ということはご了承くださいね。
授業では各章の要約を学生がプレゼンをします。
それに対する質疑応答をします。
プレゼンの中で学生は、
授業で問いかけたいテーマも提示します。
その後発表した学生の問いかけをグループワークと
全体討議で深めていく方法をとっています。
例えば先週は、「序」の回でした。
読んでくださった方は分かると思いますが、
この本の全体の展望というか見通しを記している章です。
今回の学生からの問いはこんな感じでした。
「人生は喪失に満ちている」という表現について
僕は少し受け入れがたかった。
皆さんは、この表現にどんな意図を感じ取ったか?
これに対しての発言がなかなか興味深いものでした。
・喪失というのは回数でなくて、連続なのではないか。
ひとつひとつが独立しているのでもない。
ひとつが起こり、解決して・・でなく、
例えるならば入浴剤のように溶けて広まっていくのでは。
それを満ちると表現しているのでは。
・人生は物語のようなもの。
ひとつの喪失をひとりが抱え、また誰かに語り・・
それが繋がっていったとき、
人生全体を通して満ちるということでは。
・大切な人やモノで溢れていて、
モヤモヤした中間の繋がりのような物語。
その中に人生の成分として喪失が満ちている。
・喪失があるということは、
出会いや獲得があったということ。
それを満ちているというのでは。
(喪失の反対が獲得というのか、は別議論として)
・いつか失うのに喪失の可能性に気付いていない。
失って気付く。そのときに満ちたというのでは。
・満ちるって水のイメージ。
例えば海を例に挙げるとして、満潮・干潮とある。
干潮になったからといって、水がなくなるのではない。
そこに海は変わらず存在する。
などなど、ここに挙げたのはほんの数例です。
豊かな表現と理解しようという心意気が素晴らしいでしょう。
私も関心しきりでした。
というか、ここまで考えていなかったな。
私は満ちるは、感情に近いイメージかな。
喪失があると、様々な想いが溢れて・・
それが満ちるという印象が私の心象風景に近いかも。
あとは月のように満ち欠けのように、
変化の一旦としてとかね。
正解や間違いはない世界です。
それぞれの意見を聞いて、
尊重していけるのはとてもいいですね。
来週もどんな意見がでるか、楽しみです。
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