こどもの数は。。
看護師の夜勤バイトのお話です。
私はまだたまに老人保健施設で夜勤を務めたりもしています。
新しく入居された方とお話しするときは、
御挨拶と世間話のようにして観察ということが大事です。
その後のケアへの情報はとても必要なのですね。
視力はどうかなとか、
お耳は遠くないかな、どちらの方が聞こえよいかとか、
麻痺の程度とか。。
最近は認知症の方が多いので、
認知の程度もお話しながら把握していく。
そんな話の流れの中で、
「今日来て下さったのはどなたですか?」
「おこさまは何人ですか?」
と尋ねることもある。
先日もこんなことが。。
「おこさまは何人ですか?」
質問の答えの
「三人」
に一緒にいた息子さんが
“いや、参っちゃうんです。最近何故か三人ていうんですよ”
と苦笑いで横から口を挟まれた。
“こどもは、僕だけなんですけどね”
でもね。。このとき私には、
この方の言葉が認知のためとは受け取れなかった。
(まぁ、
目の前にいる息子さんのことはもう分からなかったから
私の思い込みかもしれませんが。。)
でもね、気になって。。聞いてみたのです。
「どなたか、亡くされているんじゃないですか?」
やはり、そうでした。
“そうです”と息子さんも御存じとのことでした。
一番上の女の子は赤ちゃんの頃に。
次の男の子はかなり若くして亡くなっていた。
それで、“僕がひとり”ということだったらしい。
今の老年期の方は、おこさまを亡くされていることがある。
「分かんなくなっていることもあるけれど、
いつまでもこどもの数に入っているんですよ。
お元気だったときは、口に出さなかったかもしれません。」
そんなお話しをした。
長い時間を生きてこられた方の家族図には、
書面にはもう書かれていない喪失がある。
答えが間違いと取られることもある。
認知だと思われることもある。
それでも案外、
こどもの数は合っているもののように感じる。
若いときには、
言葉に出せなかった物語がそこにある。
「おこさまは何人ですか?」
生き抜いてきた、その方の愛を知るときがある。
2015/11/11 | 喪失, 繋ぐ・繋がる グリーフケア, 御家族から教えて頂いたこと
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