いのちあるだけで。

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大正生まれのご婦人はキリッとしています。
芯の強さとでもいうのかな。
物腰は柔らかく謙虚、けれど揺るがない感じがあります。

お手伝い要りますか？
と声を掛けると大抵“大丈夫”　“ありがとう”
って言ってくださる。

見習おうと毎回思うのね。

そんなUさんが先日こんな気持ちを教えてくださった。

「いろいろ出来なくなってきちゃったけど、
いのちあるだけで幸せと思わないとね。」

「毎晩寝る頃になると、そう思うの。」

「貧乏でやりたいことも出来ない人生だったけど、
それでもいのちはあったから。」

この時代の方の“いのちはあった”はとても重い、
それは“いのちがなくなった”方がいたと知っている。

戦争、病気、飢餓による栄養不良・・
今の日本では容易に助かる病気でも命取りだった時代がある。

それは大人でも、こどもでも・・

七歳までは神の領域

この❝いのちあるだけで❞は、
生きているからいいって意味ではないのだと思う。

生きたくとも、生き続けることが困難だった。

いのちはコントロールできないと知っている世代。

死者の贈り物　詩集

そんなに前じゃない。
まだその時代を生きた人がいる。

うーん、これだからまだ現場はやめられないのだ。

教えて頂くことはまだまだある。

忘れてはいけないという教えがある。
たくさんのことを学ばせて頂く。

祖父母が4人ともいなくなった今は、
もっと話しておけばよかったなの少しの寂しさも引きずりながら・・

受け取って・・
また紡いでいくことを想う、お彼岸の夜。