「喪失とともに生きる」ご感想 H様
またまた、ご感想が届きました。
夏にご多忙だった方は、読書の秋の始まりですね。
Hさんは、援助職と言われるお仕事についていらっしゃいます。
日々人の悩みに向き合う中、
この本から気付きを得てくださったとのことです。
有難いことだと思います。
以下、ご感想です。
(個人を特定するような点などは私の方で割愛させて頂きました。)
私は昨年浅原さんの全6回シリーズのセミナーに参加しまして、
グリーフケアについて学ばせていただきました。
「グリーフ」とは一言で言うならば「喪失による悲嘆」
自らの活動に迷いを生じていた中で、
どこか救いを求めるような気持ちで参加したものでしたが、
自分の方向性を見出すきっかけとなりました。
キーワードはナラティブ(物語)
私はカウンセリングの中で、
クライエントのナラティブをお聴きするのだと改めて思いました。
また自分のナラティブの構築という観点で、
生活困窮者支援、キャリアコンサルティング、アサーティブ等の8領域で、
活動をしていくという自分が定まっていったのでした。
この本を手にしたのは、出版直後の4月末でした。
しかし、読むのは初秋になってしまいました。
片手間で読むような本ではありません。
魂に響く本を読むには、余裕が必要で、
アサーティブの学びで精一杯の時期が過ぎてからの読書の秋となりました。
さて、全てを読んでみて、気付くのは、文調の静謐さ。
グリーフカウンセラー、小児救急医、助産師、緩和ケア医、僧侶、NPO経営者、・・支援に関わる複数の方が執筆しているのですし、
それぞれが受け止めてきた「喪失」は切実なものであるのに、
文調は、共通して、静かで、客観的すぎるくらいに感じます。
なるほど、支援の一線に立っている人は、
声高に叫んだりしないものだと思いました。
大きなものから与えられた使命を全うしていくがごとき感覚なのでしょうか。
そうした中で終末期サポートをしている松本曜一氏の
「困窮する人を『助ける』ということ―私たちの『居場所』をめぐって」
という文章が心に残りました。
(ご感想の原文ではP202~を引用されています。)
曲がりなりにも支援に携わる身として、改めてわが身を振り返りました。
また、支援の現場に蔓延している傲慢さを思いました。
そして、私たちは生かされ、救われる存在なのだと思いました。
さて既に両親はじめ、たくさんのものやことを「喪失」してきた私ですが、
今後は自分自身の、体力や気力や健康を喪失していくことでしょう。
そして最後は命を喪失するのです。
私はとても臆病ですから、心は大きく揺れ動くことでしょう。
激しく嘆き悲しむでしょう。
発達心理学的に言うならば、まさに「老年期の課題」を抱えているわけです。
しかしながら実は、
「命あるものは必ず死ぬ」ということくらい確かなものはありません。
終章に「死生学」研究の第一人者静大の竹之内裕文教授が、
私の大好きな「ゲド戦記」も引用しつつ書かれている(P282~)
このことに尽きるのだなあと思います。
「・・生命あるものはすべて、・・『死すべきもの』である。
しかし、これに加えて人間は、自らが『死すべきもの』であること、
いつか自分が死ぬという可能性について何事かを知りながら生きている。
その可能性をどのように受け止めるか、
引き受けるかに応じて、生の歩みは大きく違ってくる。」(以下略)
さあ、ともに生かされ、救われる存在として、
この瞬間を生きてまいりましょう!
御自身の喪失から、ここからの課題への歩みですね。
ブログでのご感想のシェアで、また読まれた方の気付きがある。
そんな嬉しい和が繋がっていきます。
Hさん、掲載の御了解をありがとうございました。
2016/09/05 | グリーフとの向き合い方 グリーフケア, グリーフブック, 喪失とともに生きる
関連記事
-
2022年 夏至の余白
日常の中にある大切なこと、 人生には気が付くタイミングがあります。 ...
-
2021年10月 グリーフケア~はじめの一歩 ご感想
ブログを毎日にしなくなって、 めっきりご感想等も遅れてしまいすみませ...
-
2021年12月10日 インナーチャイルド・ワークショップ
年2回の機会、ワークショップのご案内です。 インナーチャイルド・ワー...
新着記事
-
2022年 夏至の余白
日常の中にある大切なこと、 人生には気が付くタイミングがあります。 ...
-
2021年10月 グリーフケア~はじめの一歩 ご感想
ブログを毎日にしなくなって、 めっきりご感想等も遅れてしまいすみませ...
PREV : 2016年10月15日 グリーフケア~はじめの一歩
NEXT : MYジャンクション~心の交通整理